トップダウン経営の極意

 イトーヨーカ堂会長兼CEOの鈴木敏文氏が9月に行った講演で「景気が良くないのは政治の理由でもなんでもない。個々の企業が世の中の変化に対応していないからだ」と、現代におけるトップダウン経営の必要性を聴衆に語りかけました。その内容の要点を紹介します。

(龍前篤司, 11/6)

1.低価格路線の勘違い
 一昔前までは、顧客は既存商品であっても期末のバーゲンセールでたくさん買ってくれましたが、現在では少し安くするくらいでは既存商品はまず売れません。不景気になると安くすれば売れるという錯覚に誰もが陥ってしまいます。セブンイレブンで多くの社員の反対を押し切り、200円おにぎりを発売したのも私たちが追及すべきは「絶対的なおいしさ」であるべきだとトップダウンで実行したという。
 「不況の原因はお客様の求める商品やサービスを提供できていないから」であり、政治がわるいからではないのである。

2.人・モノ・金が不足することの幸い
 人・モノ・金が充実すれば会社が伸びると思うのは錯覚です。倒産の危機に瀕している状態であれば、社員はなんとか売上を確保しようと懸命になりますが、会社が満たされると、社員は人間関係や出世競争、縄張り争い等にエネルギーを費やすようになるものなのです。
 人・モノ・金が揃ったときが会社が衰退に向かうときなのです。

3.本業以外に手を出すな
 誰もが出来ると思うことは必ず過当競争となってジリ貧となるものであり、本業と関係ない事業には手を出すべきでない。素人が手を出したところで、やがてはその道のプロに負けてしまいます。

4.常識と成功体験は捨てよ
 会社経営で一番楽なことはかつての成功体験を継続することです。したがってボトムアップ経営は、右肩上がりの経済環境で現状のシステムを変えなくても良いという場合では通用しますが、真の改革が必要なときは機能しませんので、トップダウン経営で改革しなければなりません。
 ただし、ワンマンのトップダウン経営は危険であり、社員一人一人が持つ能力なり意見を経営者が吸い上げて、トップダウンで実行させることが重要です。

5.経営とは「未来の仮説を立て挑戦すること」である。
 いま景気が良くないのは政治の理由でも何でもありません。世の中の変化に経営者がどう対応していくかであり、個々の企業が解決していく問題なのです。
 不景気といっても新しい製品、いい製品を作ればいくらでも売れるのです。知恵を絞らないと世の中からどんどん置いてけぼりにされます。
 経営とは過去にとらわれることなく、未来の仮説を立てて、それにチャレンジすることではないでしょうか。

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