その場しのぎの税制改正論議に思う

 現在平成16年の税制改正論議が真っ盛りであるが、自民党の税制調査会では住宅ローン減税や定率減税の延長や譲渡所得税の減税など、相変わらず選挙を意識した改正の方向になっているようである。しかし、選挙を意識して問題を先送りばかりしていてこの国は一体どこへ行こうとしているのか不安になる。少なくとも将来のプライマリーバランス確保の青写真くらいは示してもらいたいものである。

(龍前 篤司, 12/16)

現在の税制改正論議は、日本が将来背負うべき問題について解決の糸口を示すものになっていない。今後の日本を展望するときに、(1)超高齢化社会の到来と人口の減少の問題、(2)巨額な赤字国債を発行し続けている財政破綻問題、(3)産業の空洞化とデフレ問題 等の大きな問題を抱えている。
 したがって従来のように予算や税制で景気を刺激すれば自律的に経済が回復し、発展するという能天気な予測が困難であることは多くの識者は判っているはずである。それなのに現在行われている議論は、年金の給付率の50%を維持するための財源問題で「定率減税を廃止すると参議院戦が戦えない」とか「住宅ローン減税は景気のために来年も継続すべき」といった議論ばかりである。
 なぜなら、来年は参議院の選挙に年で、「この時期に国民の負担を増やす改正をやると選挙が戦えない」という理由である。
 しかし、日本人という国民は本当にそれほどバカなのであろうか?これから老人が増加するのに若者は減少し、人口も減少していくという時代に「負担を増やす議論は選挙に不利だから」という理屈で将来の負担についての議論を避けていて本当に良いのであろうか?税収が40兆円しかないのに巨額の赤字国債を垂れ流し続け、700兆を超える借金を抱えた日本の財政の問題について、そろそろ解決の糸口を模索しなくて良いものなのであろうか?
 「景気が良くなれば税収が上がる」ということを期待して、「消費税は上げず、定率減税も廃止せず、住宅ローン減税も現状どおり続け、景気が良くなったら消費税を上げる」ということで本当に済むのだろうか?現在の痛みは全て先送りしていても景気が良くなれば何とかなる」のだろうか?
 あまりにも現在の状況を「景気が悪い」せいにし、問題を先送りしすぎてはいないだろうか?少なくとも西欧諸国のように20%前後の消費税を負担し、超高齢化社会に対応すべき税制を実現することが必要なのではなかろうか?
 「消費税の値上げは必要だが参議院戦に悪影響を及ぼす」から言ってはいけないというのはまだ判るが、「定率減税の廃止」や「住宅ローン控除の廃止」もダメというのでは財源を捻出しようがない。
 選挙にしか関心のない政治家よりも将来の日本について真面目にそして真正面に考えてくれる政治家に投票したいものである。


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