納税者有利の原則は守るべきである

 昨日(平成16年2月19日)、東京高裁はストックオプションについての課税を一時所得とした東京地裁の判断を覆して給与所得として課税する税務当局の判断を支持する判決を下しました。一時所得でなく給与所得課税されると税額は倍以上にはねあがります。どうも最近の税務当局は納税者の正当な利益よりも税収を優先する姿勢がみられます。


(龍前 篤司, 2/20)

 ストックオプションの権利行使についての課税は、給与所得であるとする税務当局と一時所得で課税すべきだとする納税者の間で多数の係争事件となっています。そして、裁判所の判断は、給与所得と一時所得とで判断が分かれていました。
 給与所得だとすれば総合所得として全額が累進課税され、一時所得の場合(1/2課税となる)に比較して倍以上の過酷な課税となってしまいます。
 そもそも、ストックオプション課税について、給与所得とすべきか一時所得とすべきかについては賛否が分かれるところであり、給与所得で課税するのは過酷な課税といわれてもしかたありません。しかも、地方裁判所で一時所得であるという判例がでている状況下での納税者の判断とすれば、当然殆どの人が一時所得として申告しています。そして税務署もその申告を認めており、指導さえしていたわけです。
 このような状況下で、今度は高等裁判所が「給与所得」という判断を下したわけですが、今までの処理はどうするのでしょうか?
 課税の問題については、租税法律主義といってあらかじめ法律で規定されない限り課税されないという原則があり、「疑わしきは納税者の有利に」という納税者有利の原則という原則もあります。
 このストックオプションについての課税こそ、納税者有利の原則にしたがって、一時所得として課税すべきであり、強引に給与所得として課税することは税務行政に対する不信感を増強させかねない強引な課税だと思います。
 ストックオプションの行使によって、利益が得られる場合というのは様々な要因によって株価が上昇したからであり、そのストックオプション行使者の労働や貢献と直接的に結びついているわけではありません。したがって、一時所得であるという見解にはかなりの説得力があります。このような場合になぜ、税務当局は強引に給与課税しようとするのかその理由はいったいなんでしょうか?
 私は税務官吏というものは、権力を背景にして課税処分を行う怖い者であるという一面の他に、納税者の正当な利益をしっかり守り、納税者が法律に規定する以上の課税を受けないよう適性課税の守り手であるという面も持つべきだと思うのです。どうも今回の一連の判断は、税務当局が税収の確保を第一義として納税者の法律上の権利を軽視しているように思えてなりません。 
 財政が苦しいことや税収が不足していることは、適性課税を軽視していいという根拠にするべきではありません。納税者の法律上の利益は最大限優先されるべきであり、だからこそ判断に迷う場合には「納税者に有利に」判断すべきなのです。
 そしてそのことが納税者の税務行政に対する信頼を確立していくのではないでしょうか?今回の東京高裁の判断を残念と思うとともに、税務当局もなぜこのように執拗に給与課税したがるのか不思議に思います。



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