相続時精算課税の重要な取り扱いが発表される
国税庁は平成15年から導入された贈与税の相続時精算課税制度に関して、ホームページ上に質疑応答事例を発表した。その中で注目すべきは賃貸アパートの敷金についての取り扱いである。敷金を単純なる債務と捉えると無借金アパートの贈与であっても敷金という負担付贈与になってしまうが、敷金については柔軟な取り扱いをすることを明らかにした。
(龍前 篤司, 3/3)
平成15年の税制改正で導入された相続時精算課税制度は、65歳以上の親から20歳以上の子へ2500万まで非課税で贈与できるという画期的な制度です。しかし、この制度を使うと贈与時の贈与税は極端に軽減されるものの、相続時にはこの制度を使って贈与した金額が相続時に加算されてしまう。したがって、この制度を使って贈与するには贈与時の課税価格が低い財産でなければ、贈与するメリットがないことになります。
建物を贈与する場合、無借金であれば固定資産税評価額が贈与税の課税価格となるため、時価よりもかなり低い価格となりますが、借金付の場合は負担付贈与となるために譲渡する場合と同じ取り扱いになるため建物は時価で評価しなければなりません。したがって、借金付の賃貸アパートを贈与する場合には負担付贈与になるため固定資産税評価額で評価することは出来ないのです。ですから無借金アパートでなければ時価より低い固定資産税評価額で贈与できないことになるため、贈与するメリットがあまりないのです。ところが、無借金アパートであっても、敷金について借金と同じ取り扱いをするとすれば、負担付贈与となってしまい時価で評価しなければならないことになってしまう。この敷金の取り扱いはどうなるのかたいへん注目されていたわけです。
この度、国税庁が発表した質疑応答事例によれば、敷金は停止条件付債務であるが、「敷金に相当する現金の贈与を同時に行っているような場合には、法形式上は負担付贈与に該当するが、当事者に当該敷金返還請求債務を承継させる意図がない」として実質的に負担付贈与ではないと取り扱うことを明らかにしている。
したがって、無借金賃貸アパートを贈与する場合、預かっている敷金に相当する現金の移管も伴えば、固定資産税評価額を基準にして建物を評価していいことが明らかとなったわけである。
この取り扱いであれば、無借金アパートを子に贈与し、預かっている敷金もこの口座に移転すれば、固定資産税評価額を基準として相続時精算課税制度を使った贈与が堂々と出来ます。
最近、税務当局の税務上の取り扱いが厳しすぎて、せっかく作った制度が機能しないことが多かった(定期借地権、金庫株制度、ストックオプション等)が、久々に柔軟で妥当な取り扱いが発表されたような気がします。
税務は新しい普及すべき制度について、今回のように柔軟に対応すべきなのだと思います。
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