金融資産性所得の一体課税の動きは要注意!
今年の税制改正で、不動産の譲渡所得と他の所得の損益通算が禁止されたことは既報のとおりですが、政府税制調査会では金融資産性所得の一体課税の準備を進めています。あらゆる金融資産の運用商品を全て一体的に課税しようとするもので、納税者番号制度の導入が前提となっているので注意が必要です。
(龍前 篤司, 4/16)
平成16年の税制改正が成立したばかりですが、政府税制調査会は新しい改正へ向けての議論を開始しています。今年の税制改正で最も衝撃的であったのが「不動産譲渡所得と他の所得との損益通算禁止」という改正です。
この改正が成立したことにより、不動産投資で失敗した人に厳しい税制になったわけですが、この背景には不動産の証券化による「不動産の金融資産類似化」があります。
最近の不動産投資の小口証券化の流れは、たいへん活発で、多くの上場企業の本社ビルが小口証券化されてオフバランス化しているのです。もはや「不動産は利回り商品」の時代に突入しているのです。したがって、このような流れからすると「他の所得との損益通算を禁止する」ということもそれほど不自然なことではないということになるのかもしれません。
さて、政府税制調査会で議論されている「金融資産性所得の一体課税」ですが、これは預貯金の利子、投資信託や株式の譲渡益や配当、不動産小口化商品等の各種金融商品を全て一体的に合算して一体的に課税しようとするものです。そもそも、現代のように様々な金融商品が氾濫している時代で、その金融商品ごとに課税の仕方が異なっているのは分かり辛いし、不合理であることも事実です。しかも、合算しないで別々に課税するのでは損益通算を認めない限り、利益が出た分野だけ課税されてしまうことになります。
したがって、金融資産性所得を一体課税することが実現すれば、金融資産の運用が全体として利益が出たときだけ課税されることになりますので、妥当な課税を実現することができます。しかし、この一体課税を実現するためには、様々な金融資産の運用結果が把握されなければならないため、納税者番号制の導入が不可欠の課題となります。
この納税者番号制度は既に欧米諸国では導入されており、税調では年金番号や住基コード、特定口座等の使用を含めた具体的な提言をこの夏までに行い、来年の税制改正に盛り込みたい意向のようです。
国民総背番号制度に対するアレルギーもありますが、官公庁のシステムが高度化し、電子申告や電子申請が当たり前の時代になると、この番号制度の導入は避けて通れない時代です。
あらゆる財産が登録され、一人一人の番号に結び付けられると、全ての国民のあらゆる財産が名寄せされますから、「ごまかしの利かない管理された社会」が到来するかもしれません。コンピューターの発展は、あらゆる情報のデータ化を推進し、全ての個人情報がどこかに管理されてしまう社会を招来することになるのです。
それがいいことなのかどうかは判りませんが、そんな方向だけは見えます・・・
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