9月28日のセミナーへの参加ありがとうございました

 9月28日にソニックで行なった「新広大地評価の注意点」というセミナーは、多くの皆様が参加されて会場が満席になり成功裏に終了させていただきました。今回のセミナーはテーマを絞って少人数でということで40人の会場だったために窮屈な思いをさせて申し訳ありませんでした。参加された皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。


(龍前 篤司, 9/30)

 9月28日に大宮のソニックシティで、当事務所主催のセミナーを開催しました。テーマは「新広大地評価の注意点とその対応策」ということで特殊なテーマであったために40人程度の狭い会場を用意していたところ、定員以上の申し込みを受けたために一部の方には事前に断らせていただきました。誠に申し訳ございませんでした。
 さて、セミナーに参加された方は今回の財産評価通達の改正がいかに重大な影響を及ぼす事件であるか、ご理解頂けたと思います。実は今回の改正は都市近郊の地主資産家にとっては、平成15年に最高税率が引下げられた相続税の大改正以上に重大です。
 すなわち、従来であれば、広大地の評価減は個別的に開発した場合を想定して有効宅地割合を算出して、その割合を奥行価格補正率に代わって適用していたわけですが、今回の改正によりその面積によって4割超から65%までの減額ができるようになったわけです。
 しかも、その面積が開発許可を要する面積以下であったとしても、ミニ開発が行なわれる地域であるならば、この減額法を適用して構わないというのですから、「路線価の評価水準を4割引下げた?」というとオーバーですが、そのくらい強烈な評価方法の改正なのです。
 したがって、多くの土地所有者にとって今回の改正は朗報となるわけですが、この改正によって顕在化する問題点も多々あります。
 最も重大な問題は、今回の改正によって広大地を大雑把に評価することによる弊害です。つまり、この補正率を使うと個別的な斟酌ができないため不整形地も傾斜地も広大地評価をすると同じ評価額となってしまいます。実際の価値が全く異なるのに同じ金額で評価するというのでは税法にとって最も重視しなければならない「課税の公平」という原則からは大問題であり、相続税に対する信頼感を失わせます。
 

もう一つの大きな問題は、貸家建付地に対する取り扱いです。すなわち、既に開発済みの土地は、「新たに開発による負担がない」という理由でこの減額の適用にならないことになりそうであるということです。高度利用すべき土地にマンションやビルを建てた場合であれば実際にその土地を最も有効に使っているのですから、広大地補正の適用がないのは当然です。しかし、実際にはそうでない土地に建てたマンションやビルの敷地が、更地より高く評価されるのは大問題です。課税の公平からいって問題であるのはもちろんのこと、景気政策的にも社会的にも問題であると思います。やはり、更地について大雑把な減額を行なうのであれば、利用している土地については路線価評価方式でなく収益還元で評価する等のことを行なわない限り片手落ちです。
 
 そして、最後の問題は、この通達の運用についてです。税務の現場(税務署の指導や調査)では、あいまいな分野の取り扱いは「なるべく納税者の不利に」運用される傾向にあります。したがって、たとえミニ開発が行われている地域であったとしても、開発許可を要する面積以下の土地についてこの減額をなかなか認めようとしないであろうし、低層の家作やアパートが建っている土地についてもこの減額を認めようとしないのではないかということを畏れます。
 刑法の「疑わしきは罰せず」というが市民社会の原理原則であるはずなのですが、税務の現場では「疑わしきは納税者の有利に」という原則が通用しません。この通達が納税者にとって有利なように柔軟に取り扱われるのであれば、「公示価格の8割水準」という強引な路線価の水準を実質的に引き下げ、時価よりも高い金額で課税されるという不合理な事態を回避できるのだと思います。しかし、現実はその反対に運用されることが懸念されます。
 しかしながら、この通達改正は、路線価評価方式の限界を国税庁自らが明らかにした事件であると考えることもできるのです。すなわち、かつては時価の4割程度であった路線価を「公示地価の8割水準」なんて神をも畏れぬような課税を続けることが、少なくとも広大地の分野では崩壊したということなのです。無実の人を罰してはならないように、相続税で最も重要なことは「時価を超える金額で課税しない」ということでなければなりません。時価以上の課税が平然と行なわれ、税理士も「物納すればいいや」と安易に考える時代は終わりにしなければならないと思います。
 そういう意味では、この通達改正は「路線価評価方式の終わりの始まり」または「8割評価の終わりの始まり」と言えるのかもしれません。
 そして私たちが肝に銘じなければならないのは、テクニカルな評価減による相続対策よりも、「最適活用による健全な資産経営」こそが肝要であるということです。




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