新しい定期借地(地代前払)方式で土地利用新時代が?
今年の税制改正案は「驚くべきほどサプライズがない」税制改正案ですが、先頃発表された定期借地に関する「地代前払い方式」の取り扱いは税制改正案よりも新しい時代の土地活用に大きな影響を与えるかもしれません。
(龍前 篤司, 1/31)
平成17年1月7日付けで国税庁から示された国土交通省からの照会に対する回答(「定期借地権の賃料の一部又は全部を前払いとして一括して授受した場合における税務上の取り扱いについて」)が先頃公開されました。
それによると、契約上で前払い地代であることを明確にして、期間の経過とともに地代に充当されることが契約上確保されていれば、一括して地代を前払いしても「一時に課税するのではなく、期間の経過に対応する金額についてだけ収益に計上することで良い」ということになりました。
すなわち、従来は所得税の累進課税(又は譲渡所得としての課税)を回避するため、定期借地権設定時の一時金は、将来返還しなければならない「保証金」として授受されるのが普通でした。この「保証金方式」は一時課税を回避するためには有効なのですが、貸主にとっては「将来返さなければならないという負担感」があり、借主にしてみれば「長期間に亘って返らない資金なのに償却(費用化)できない」という欠点がありました。
特に最近のように超低金利が長く続くと、預かった保証金について運用上の魅力がなくて、負担感が重いことになります。
今回公表された税務上の取り扱いによれば、例えば定期借地権設定時に50年間全ての地代を前払いしてもらっても、課税されるのは毎年1年分の地代相当額だけになります。
この地代前払い方式によって定期借地権住宅や定期借地権マンション、定期借地権店舗などを契約する場合、多くのメリットが考えられます。
<地主のメリット>
@多額の資金を土地を譲渡することなく獲得できる。
A対応する税負担は分割払いであるため少なく、利息相当分の経済的利益を実質的に享受できる。
B地代は一括して受領するため、滞納の心配がなく集金の手間もかからない
<借地人のメリット>
@土地の長期間に亘る独占的使用権を、所有権よりも安い金額でその後の負担なしに取得できる。
A地代は一括して前払いしてあるため、その値上がりに怯える必要がない。
B長期的な預け金であるが期間の経過とともに償却(費用化)できる。
以上のように、このような税務対応が認められることによって、定期借地権の本来の魅力である、「所有権よりも安い」、「土地に縛られない」、「地価の変動から自由」等の良さが発揮されます。
税制改正が「全て先送り」している中で、この新しい税務の取り扱いは、注目すべきだと思います。この取り扱いを賢く活かした取り組みが期待されます。
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