今年の地価と株価の動向をどう捉えるか?

 3月23日に今年の公示地価が国土交通省から発表されましたが、地価下落はなんと14年も連続して続いており、2極化も面的に拡大しています。一方の株価の方はどうかというと、パソコンで運用する個人投資家はかなり増えたとはいえ、外資の流入に左右されるという状況は相変わらずであり、日本企業の株価総額は外国企業に比べるとあまりに小さく、今後が不安です。

(龍前 篤司, 3/30)

 今月の23日に国土交通省から発表された地価公示価格は全国的には14年連続の下落という深刻な資産デフレの状況を如実に示すこととなりました。しかも、2006年には日本の人口がピークを迎え、2007年からは人口減少時代に突入するという状況下での「14年連続地価下落」という現象は、重大な意味を持つはずです。

(1)14年連続下落により、地価はどうなったのか?
@埼玉県の商業地の公示地価の平均値は平成3年の1,739,400円から、平成17年の288,200円に下落しました(約1/6になった)。
A埼玉県の住宅地の公示価格の平均値は平成3年の311,300円から、平成17年の133,800円に下落しました(約4割となった)。
B埼玉県北部(熊谷市)の商業地(熊谷市北口駅前)の公示地価は平成3年の3,760,000円から平成17年の346,000円に下落しました(約1/11になった)。
 以上のことから、埼玉県の商業地の地価は県北では1/10以下に、平均でも1/5以下に、住宅地は半分以下になっています。このことが、借入金の負担にあえぐ地域の中小企業にとってたいへん大きな問題となっています。

(2)今年の地価動向の特徴は?
 今年の地価動向の特徴は、なんと言っても2極化の進行です。昨年までは「勝ち組地点とその他の負け組み地域」という2極化の構図だったのが、今年は「勝ち組地域と負け組み地域」という形に2極化が進行しているのです。すなわち、地価が上昇している地点が地域単位に広がってきており、2極化が地域単位に拡大しています。
 そしてわが埼玉県にとって深刻なことは、埼玉県において地価が上昇しているポイントはわずか1ポイントであり、千葉県や神奈川県に比較すると極端に少なく、埼玉県で明らかに「勝ち組地域」といえるところがまだ出現していないことでしょう。
 
(3)この地価動向をどう捉えるべきか?
@負け組土地の換金力が著しく低下する?
 土地は大事な財産であることには違いないが、負け組み地域の土地は、「今なら買う人がいるが、将来は資金化が困難となる」可能性があります。すなわち、「負け組み地域の収益性のない土地」資産は、「収益性がなくコストがかかり値下がりする」という最悪の資産になる可能性がある。すなわち、現在の調整区域農地のように「売ろうと思っても誰も買ってくれない」という状態になる可能性があるのです。
A勝ち組地域は拡大するのか?
 去年から今年にかけては、勝ち組地域は都内や千葉県、神奈川県でかなり拡大しており、今後埼玉県の南部地域も地価上昇に転ずる可能性はある。しかし、あくまで「収益性の高い土地」に限っての話であり、絶好の「投資好機」と考えるのは疑問でしょう。
B長期的動向は不鮮明である
 現在のところ、「都心中心の勝ち組地域とその他の負け組み地域」という2極化の構造となっているが、これがどの程度続くのかは不鮮明です。特に2007年問題などといわれているマンションの大量供給は、「都心バブル」といっても過言ではなく、バブルは必ずはじけると考えるべきでしょう。

(4)結局、どうすべきか?
 結局のところ、地価が下落している負け組み地域に居住する土地資産家や地域企業の経営者のなすべきことは、「土地自体を守ることよりもその資産価値を守ること」なのです。すなわち、これだけ土地資産の有利性が崩壊している中で、「無収益で下落し続ける土地を固定資産税を納めながら保有し続ける」ということは「資産家でなくなる道」を歩んでいることになります。
 すなわち現在の土地を維持することが、資産防衛ではなく、現在の資産価値を維持することこそ資産防衛と考えるべきなのです。したがって、資産家であり続けるためにはかつての大地主が、多数の小作人を使って大規模な農業経営を行ったように、土地を利用して収益を上げるか、又は、換金して他の資産(下落しない資産)に組み替えるかのどちらかの決断が必要になるのです。

 いずれにしても、他の業種と同じく、不動産賃貸業もまさしく経営の時代を迎えているのです。しかし、このことは当然のことなのであり、ダイエーや西武というかつては日本を代表する大企業さえ、不動産に偏った経営を続けていると、不振に陥ってしまうのですから。
 地域の資産家や企業経営者にとって、その土地資産の収益性の向上と、遊休資産の整理は大きな課題となっているのです。
 そして、日本の株式ももっと多くの個人資金が流入しないと、外国企業の草刈場とならないとも限らないのです。日本にとって、財政の問題とこの資産デフレの問題はたいへん大きいのです。遊休土地を売却して日本株を買うことが今後の資産運用と日本経済にとってたいへん大きな意味を持つのかもしれません。




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