調整区域内農地の物納が可能に?
11月6日の読売新聞によると、財務省は来年の税制改正で相続税の物納制度を抜本的に見直す方針を固めたようです。
(龍前 篤司, 11/6)
税金の納付は金銭で行わなければなりませんが、相続税を納税する場合についてだけは「物納」が認められています。この物納についてはバブルが崩壊する以前は殆ど利用されていませんでしたが、地下が急落し、路線価が公示価格の8割まで引き上げられた(平成4年)ために、「路線価で売却できない土地」が急増したため、平成3年以降くらいから盛んに利用されるようになりました。
しかし、物で納めることができるとはいっても、物納が認められる対象には当然制限があるわけで、換金し辛い財産は原則として除外されるわけです。したがって、「市街化調整区域の農地や山林」などは原則として農家以外に取得できないし、宅地転用が困難で換金能力が低いため物納することは原則として認められなかったわけです。
平成18年の税制改正で、この物納制度を改正するというのですが、その方向は以下の内容で検討されているようです。
| (1) |
物納の対象外となる財産を限定列挙することで、物納財産の基準を明確にして、対象範囲を広げる。具体的には
|
| ・ |
不動産では市街化調整区域内の農地や山林などの物納を認める。 |
| ・ |
非上場会社の株式の物納条件を緩和し、現行では認めていない赤字企業や買取希望者の見つかっていない株式も対象とする。 |
(2)物納の申請から税務署が許可を行うまでの期間を定め、手続きを迅速にする。
このように、来年の税制改正で物納制度が改正されると、農家や中小企業経営者にとってたいへんな朗報となります。
というのも、例えば後継者のいない農家にとっては、今までは相続税を支払うために市街化区域の土地を売却したり、物納して相続税を納めていたわけですが、調整区域の農地で相続税が納税できれば、市街化区域の土地を残して利用することができるようになるわけです。従来は「相続税を支払ったら調整区域の農地しか残らない」という悲惨な結果になったわけですが、「調整区域を物納して市街化区域を残す」ことができるようになるわけです。
中小企業経営者にとってもとても朗報です。従来は非上場株式の物納は様々な条件をクリアしないと認められなかったために、会社の株式ではなくて大切な土地等を処分したり、延納したりして相続税を支払っていたわけですが、自社の株式が物納できれば、いったんこれで物納し、計画的に後で買い取ることができます。
いずれにしても、相続税の影に過度におびえて資産経営や中小企業経営を萎縮させる必要はないと思うのです。改正されたら物納を相続対策のなかでより積極的に位置づける必要がでてくると思います。
|