海外資産の増加と気になる相続税調査の動向

ライブドアの堀江元社長が逮捕され、報道によれば彼はかなりの資産を海外に移転していると伝えられています。東京国税局が発表した相続税の調査事績によると、海外資産の申告漏れは1件当たり9,033万円という巨額な申告漏れとなっています。多くの資産家が資産の海外移転を進めていることが読み取れます。

(龍前 篤司, 2/9)

 2月8日に実施したわが武蔵経営の熊谷セミナーには、多くの皆様が参加して熱心に聴講していただきましてありがとうございました。
 当日もお話しましたとおり、今年5月に予定されている新商法の施行や平成18年の税制改正によって、これからの日本はますます弱肉強食の格差社会化が進行していく惧れがあります。今回の同族会社のオーナー社長報酬の損金不算入という改正案などによって、中小企業を取り巻く経営環境はますます厳しくなっていくばかりでありますが、中小企業の経営を持続させるためには「しなやかに変化して適応する」ことが求められているわけです。

 さて、皆さん実感しているとおり、中小企業の経営環境はとても厳しいのですが、輸出関連の上場企業はトヨタをはじめとして史上空前の利益を計上する見込みであるといわれています。そのような中で、今回の税制改正により、非同族会社であれば業績連動型の役員賞与を損金算入することが可能となります(ただし、報酬委員会の決定や有価証券報告書等による事前開示が求められます)。
 この改正によって、多くの上場企業の役員は巨額の業績連動賞与を手にすることになるでしょう。今までの日本社会は、1億円以上の収入を得ている個人は全国で僅か9600人しか存在せず、5億円以上の金融資産を保有する人も6万人程度しかいないとても均質的社会だったわけですが、この改正によりビッグマネーを手にする人が多くなるでしょう。そうなると増加するのがライブドアの堀江元社長のように資産を海外に移転しようとする動きです。

 東京国税局が発表した相続税の16事務年度の調査事績によると、海外に資産を所有している相続案件124件を調査したところ、92件から申告漏れが把握され、1件あたりの平均申告漏れ額は9,033万円であったようです。この金額は相続税を調査した東京局全部の調査4,113件の平均申告漏れ額3,584万円と比較すると著しく高額となっています。
 やはり、海外資産は堀江元社長と同様に脱税の目的で移転するケースが多いようですが、税務署も当然目を光らせていますので、「海外資産だから大丈夫」なんて思わないようにしましょう。

 それにしても、最近は相続税の調査が増えています。相続税の申告件数は減少しているにもかかわらず、相続税の調査件数が東京国税局では10.4%の増加(4,113件)、関東信越国税局では5.7%の増加(1,377件)し全国的にも7.6%増加しています(全国で13,760件)。平成16年中に相続が開始した人の中で相続税の申告が必要だった人が約43,000人ですから調査割合が32%という高率になっており、従来の倍近い調査割合となっています。海外取引等を利用して財産隠しをしても、相続税の場合は調査になる確率が高いので注意が必要です。


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