| 〜金利上昇は中小企業経営にどのような影響を?〜 |
| 平成18年8月31日 |
| 1%上昇で企業の金利負担が3兆円増加する! |
1.家計の株や投信の値上がり益が62兆!
本日の日経新聞に最近1年間で、株や投資信託に家計の資金が流入してなんと62兆円もの値上がり益が家計に流入しているとの記事が載っていました。この62兆円という値上がり益はバブル経済真っ盛りの1989年を超える史上最高の値上がり益であるようです。
日本の金融資産を取り巻く状況は、あまりに長期間に及ぶ低金利が続いたため、家計の金融資産は最近急速に定期預金から株式や投資信託に流れており、バブル時代を大きく超える資金が株式や投資信託に流入しています。
考えてみれば、銀行が定期預金ではなく投資信託を薦めているのですから家計資金が急速に株式や投信に流入するのも当然なのです。そしてこの62兆円に対しての課税は近年緩和されている有価証券税制により10%の分離課税で済むのですから、この値上がり益によって国内消費は大きく増進しているはずです。
2.デフレからインフレに?
株や投資信託が値上がりし、家計にその果実による余剰資金が流入し消費を活発にするという好循環はたいへん望ましいことですが、私たち中小企業経営者にとって最も気になるのは、「金利の動向」です。デフレであるからこそ超低金利政策が長期間に亘り採用され続けてきたのですが、インフレは金利の上昇を招くことになります。
日銀は7月にゼロ金利政策を放棄し、公定歩合も7月19日から0.1%から0.4%に引き上げられました。中小企業経営者にとってデフレもいやですが、インフレによって金利が上昇することは中小企業の経営に大きなダメージを与えます。
日本経済は、この国内需要は拡大しながらも、金利の上昇は極力押さえなければならないというたいへん難しい局面を迎えているようです。
3.金利上昇は中小企業に深刻な影響を!
内閣府の調査によると、金利が仮に1%上昇したとすると、企業の金利負担は約3兆円増加するとしています。そしてその影響は企業規模で言えば中小企業への影響が大きく、業種的には不動産業などの非製造業への影響が大きいとしています。
内閣府が2005年のデータを基に試算した結果によると、仮に金利が1%上昇した場合、資本金1億円以上の大・中堅企業全体の経営利益が1.67兆円減少するのに対し、中小企業(資本金1000万以上10区円未満)全体の経営利益は1.41兆円減少するとしています。この経常利益の減少を企業利益の対前年増減率で示すと、大・中堅企業は前年対比▲5.3%の現象で済むのに対し、中小企業は▲8.7%という大幅な減少となるようです。
金利上昇が企業収益に与える影響(試算) |
区分 |
2005年(暦年)の増益率 |
1%金利が上昇した場合の減益額 |
1%金利が上昇した場合の減益率 |
大・中堅企業 |
12.5% |
1.67兆 |
▲5.3% |
中小企業 |
10.4% |
1.41兆 |
▲8.7% |
4.金利が1%上昇した場合の家計への影響
金利が上昇すれば、借金をしている中小企業はたいへんですが、預金金利も上がることから家計に流入する利子も増加することになります。
内閣府が発表した「金利が1%上昇した場合の家計への影響」によると、支払額が2.5兆円増加し、利子の受取額は8.8兆円浄化するため、差し引き家計の収入は6.3兆円増加するとしています。そして、消費支出は1.2兆円増え、高齢者や高所得者層の増加が大きいとしています。
多くの大企業は、長期間続いた超低金利時代に直接金融やリストラにより自己資本を強化し自己資本経営に転換し、金利の上昇に対して強い企業体質になっています。これに対し中小企業の自己資本比率は、依然として低いままとなっており、金利の上昇が致命傷となりかねません。
既に「金利上昇前夜」ともいえる時代であり、金利の低いうちに金利上昇に対する耐性(自己資本比率や収益性の強化)を向上させなければならないと思います。
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