〜会社法の施行後の中小企業はどう動いているのか?〜
平成18年10月5日
中小企業もコンプライアンスを重視しなければならない時代に

1.定款の見直しから全社的な法的整備へ

皆さんご存知のとおり、5月1日から会社法が施行され、株式会社の法制度が大幅に規制緩和されました。その結果株式の譲渡制限さえ定款で規定すれば、取締役は1人でもいいし、取締役会や監査役も設置しなくていいなど、かなり自由に機関設計することができるようになりました。また、株主総会の手続きにしても株式の譲渡制限会社は召集通知の期間を短縮することや、全員の合意があれば召集手続きを省略することができるようになったわけです。
この会社法ができるまでは、旧商法によって全ての株式会社は3人以上の取締役と取締役会及び監査役を設置しなければならず、株主総会も開催2週間前までに召集通知を出すことが全ての株式会社に義務付けられていました。しかし、所有と経営が全く一致している家族経営の株式会社にとっては、株主総会と取締役会の対立など考えられず、経営上の必要性はほとんどないことになります。
したがって、ほとんどの所有と経営が一致している家族経営株式会社は、株主総会や取締役会を適正な手続きに則って開くことなく、商法の規定を守らなかった(守れなかった)のです。そして今まではこの商法の明文規定に遵わなくても、あまりその責任が追及されることはありませんでした。
しかし、会社法の施行によって、家族経営の株式会社にとっても「守ることのできる会社法」となったわけです。したがって、今後はこの会社法の規定を守っているかということ(コンプライアンス)がたいへん重大な経営上の課題となっていくことでしょう。

2.会計基準を守らせるための会社法?
この会社法が施行される数年前から、「会計ビッグバン」といわれる会社の計算上の諸規定が大幅に改正されてきました。この会計ビッグバンを中小零細企業にとっても実効あらしめるために会社法を改正したといっていいほど、会計上の諸規定の改正は重大な意味を持ちます。簡単に言えば、会計ビッグバンと会社法により「これからの株式会社がディスクローズする貸借対照表は、実際の財政状態を示しているものでなければならなくなった」ということです。
すなわちたとえ家族経営の株式会社であっても、会社法に従って適正に自社の財務諸表をディスクローズしないと経営上の責任を追求される時代が到来したのです。
うがった見方をすれば、金融機関や外国人が日本の株式会社の発表した財務諸表を信じて取引きして損害を被った時に、きちんと責任を追及できる体制が会社法の成立により整った、ともいえるわけです。そうなると会社を経営する経営者たちは、きちんと会社法に遵って経営しないとその経営者としての責任を問われるため、コンプライアンスという言葉があちこちで飛び交っているわけです。

3.コンプライアンスの確立は重要な経営課題
さて、会社法に則って自社の経営に最も相応しい機関設計や手続き設計をするためには、定款を変更する必要があります。多くの中小企業でこの「定款の抜本的な見直し」が進められていますが、全く何もしていない中小企業も多いようです。
しかし、この会社法の施行によって「コンプライアンスをより重視する社会」が招来されることは確実です。したがって自覚的な企業は定款の変更にとどまることなく、就業規則や人事制度の抜本的な見直しにまで着手しているようです。なぜなら、このコンプライアンス重視の傾向は会社の財務諸表にとどまらず、セクシャルハラスメント、不当労働行為、特許権、サービス残業等の多方面に及んでいるからです。


4.サービス残業是正指導が史上最高の232億円
10月2日の日経新聞によると、サービス残業で労働基準局から是正指導を受け、2005年度で100万円以上の未払い残業代を支払った企業が史上最多の1,524社で総額232億円に上っていることが載っていました。残業代が未払いだった労働者数は167,958人で、一人当たりの未払残業代の平均は14万円となり右肩上がりであり、悪質な会社51件は書類送検されています。
コンプライアンス(法令遵守)の確保は中小企業にとってもたいへん重大な課題となっているようです。

(文責 龍前篤司)


<前のページに戻る
 
[HOME] [毎日更新] [お知らせ] [NEWS] [経営指針]
[業務内容] [会社概要] [地図] [出版物] [リンク]


税理士法人 武蔵経営
本社 熊谷事務所 〒360-0013 埼玉県熊谷市中西2-7-31
TEL:048-522-0064
/ FAX:048-523-8007
さいたま事務所 〒330-0845 埼玉県さいたま市大宮区仲町2-24-2
金杉仲町ビル3F
TEL:048-631-2271
/ FAX:048-631-2272