| 〜人口減少時代こそ幸福な社会が実現可能!〜 |
| 平成19年8月23日 |
| 人口減少社会を前向きに捉える発想の転換 |
1.人口の減少は悪いことではない
ソフトブレーン株式会社の創業者である宗 文州氏がVoiceという雑誌の8月号で 「幸福な人口減少社会〜ITをもっと働かせよ」という記事の中で、日本人は「円高が
怖い」や「人口減少が怖い」という常識に洗脳されてきたと指摘しています。確かに宗氏が言うように、世界は少子化どころか人口爆発の脅威にさらされています。人口増は資源を枯渇させ、環境に負担をかけ、それをめぐる争いを増やしているのです。
日本は狭い国土に1億2000万人もの人が住み、既に過密状態であり、日本の人口が2億人になったところで、何かいいことがあるのだろうか?少子化になる傾向は余裕と文明を受け入れたことの暗示で、人間の生存本能の証拠なのです。今後急速に進むであろう超高齢化社会の到来は、過去の急速な人口増によって起こった問題であることに気づくべきで、日本の高齢化はやがて自然に解消され、その時少子化も一緒になくなる、「人口増を期待するよりも人間の本能と自然の摂理を受け入れ、人間の存在価値を高め、生活の快適性を高めることに注意を払うべき」と氏は言います。
経済と消費の立場で人口の多寡と構成に危機感を持つより、豊な自然を守りながら、個々の生活者の幸福を高めることがもっと議論されるべきなのです。「少子化」が進んでいるのは、大多数の日本人にとって潜在意識の中で賛成していることが顕在化している結果なのだと指摘しています。
2.人材活用とグローバル展開が発展のポイント
確かに今までの日本の経済発展は、人口の急速な増加という現象に支えられていたことは間違いありません。人口が増加したことで働く人材は豊富になり、国内消費は増加し続けたのです。今後の人口減少社会は、従来のように何もしなくても労働力と国内消費が増加していく社会ではありませんので、従来の発想のままでは、GDPは間違いなく減少するということになります。
しかし、経済のグローバル化を図れば人材の問題も諸費の問題も解消可能であるという。「事例をあげるときりがないが、持っているIT技術をもっと広く速く応用するだけで、日本はもっと人力を節約することが可能だ。人口増に頼る旧い発想は旧い時代の産物であり、経済の高度化を遅らせるだけでなく、人々の幸せにする観点がかけているのではないだろうか」と氏は指摘します。
世界には多数のシステムエンジニア予備軍がいて、インターネットを使えば移民の問題もなく彼らを活用できるし、女性の社会進出が日本ほど遅れている先進国はありませ ん。日本のビジネスマンは必要以上に会社に通っていて、物理的に1箇所に集まらなくても出来る仕事は全体の8割に当たるにもかかわらず、多くの家庭には仕事をする環境も習慣もないのです。
人口増は個々人の望みではなく、個人の望みと関係なく議論される人口増は明らかに国家主義的発想で、人口増に頼る経済システムはいずれ壁にぶつかることも明白です。人口増に頼る経済は、グローバル市場ではなく自国の市場に依存する発想なのです。
3.世界で最も豊な国は人口が少ない。
GDPの大きさでは、日本はアメリカに次いで世界第二位の地位にありますが、多くの日本人はその生活のレベルではその豊かさを実感できていません。その原因は、狭い国土に密集して暮らすため居住にまつわるコストが必要以上にかかり、余暇や遊興にお金を廻しにくいということも原因です。生活の豊かさを決めるのはGDPの総額ではなく、一人当たりの生産性の効率なのです。
ちなみに、世界で最も豊な国、すなわち「世界で最も平均所得の高い国」は何処でしょうか?それはルクセンブルグという小国であり、人口は僅か47万人しかいません。平均所得のベスト5を示すと下記の通り、いずれも人口30万から800万までの国に占められています(アメリカは世界第6位となります)。
<平均所得の多い国>
| 順位 |
国名 |
平均所得(ドル) |
| 第1位 |
ルクセンブルグ |
65,630 |
| 第2位 |
ノルウェー |
59,590 |
| 第3位 |
スイス |
54,930 |
| 第4位 |
デンマーク |
47,390 |
| 第5位 |
アイスランド |
46,320 |
4.私たちが考えなければならないこと
考えてみれば、私たちは人口が増加することによる成功体験に浸りきって、人口が減少していくことに漠然とした恐怖感を抱いています。この恐怖感は人口だけでなく、「地価」、「年金」、「終身雇用制」、「人材」、「教育」等、全ての既存システムが従来どおりでは立ち行かない事に恐怖感を抱いています。
しかし、日本は人口が増えすぎたことも明らかで、経済規模を追求するより、環境や生活を大切にすべき時代を迎えたことにより、人間が自己防衛本能から潜在意識で少子化を選択していると考えるべきなのかもしれません。そして、日本のブロードバンドの普及率は世界トップレベルであり、日本の何処でも携帯電話とブロードバンドが通じ、情報システムのセキュリティ技術も成熟しているのです。ネット経由の銀行決済と有価証券の取引は当たり前となり、家にいながら企業のシステムとつながることは普通になっています。
発想の転換さえすれば人材も消費も獲得可能であり、私たちは人口の減少という事実をもっと前向きにとらえる必要があるのかもしれません。
(文責 龍前 篤司)
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