平成19年分路線価にみる地価と不動産経営の行方!
平成19年8月6日
全国平均が8.6%で埼玉県は僅か1.7%の上昇

1.「路線価」の重大な影響力 
去る8月1日に恒例の平成19年分新路線価の発表がありました。この路線価というのは、平成19年中に相続が開始した場合や贈与した場合の相続税や贈与税を計算する場合の土地評価の基準として使うために毎年この時期に発表されます。そしてこの路線価は、国税庁のホームページを検索すると、全国どこの路線価を誰でも無償で閲覧することができます。
土地の時価を示す公的な情報としては、「公示地価」と「固定資産税評価額」とこの「路線価」があります。しかし、公示地価は決められたポイントの地価情報しか決定されませんし、固定資産税評価額は全国全ての情報を手軽に取得することは出来ません。
それに対して路線価情報は、インターネット上に全国全ての情報が公開されているわけですから、この路線価は相続税や贈与税の計算だけに使われるのではなく、実際には様々な場面で利用されているわけです。したがって、路線価が変われば、相続税や贈与税の額も変わり、その年に亡くなった人の相続税は大きく影響を受けるのですが、それだけでなく実際の土地取引にも大きな影響を与え、基本的には土地の値段が上がったから路線価が上がる」のですが、「路線価が上がったから土地の値段も上がる」という影響を与えます。

2.平成19年路線価の特徴
さて今年の路線価ですが、全国41万箇所の平均価額がuあたり1万円上昇し、平均で8.6%も上昇しています。
今年の路線価の発表額をみてみますと、


(1)全国平均 126千円/u +8.6%
(2)東京圏平均 302千円/u +13.1%
(3)大阪圏平均 161千円/u +8.1%
(4)名古屋圏平均 108千円/u +9.1%
(5)地方圏平均 51千円/u +0.0%
(6)埼玉県の平均 118千円/u +1.7%

となっています。そして
平均路線価が上昇している都道府県は 3大都市圏を中心とする12都道府県で、地方の31県では下落が続いていると報道されています。こうして平均値を並べてみると、東京圏の平均上昇率が+13.1%もあり、全国平均でさえ8.6%も上昇しているのに、埼玉県は1.7%しか上昇していないのは少し意外に思えます。首都圏の中で、千葉県は+5.2%で、神奈川県が+3.7%である点から考えても、埼玉県は相対的に魅力ある街づくりが進んでいないといえるのかもしれません。
また、地方圏は下落が続いている県が大半なのにもかかわらず、地方圏平均が+0.0%というのも不自然に感じます。昨年まで続いていた、「都市で上昇し、地方で下落する」という「地域格差の拡大」という傾向には、歯止めがかかったとはとても思えないのが実感だからです。
いずれにしても、「東京に近い」というだけでは「土地の魅力は向上しない」ということを冷静に分析する必要があるかもしれません。

3.都心の「分譲マンション」の価格が急騰している
8月2日の日本経済新聞に載った2007年の上半期の「首都圏分譲マンションの平均分譲マンション価格上昇率ランキング」(不動産経済研究所発表)によると、下表の通り分譲マンションの価格が急騰しています。

<首都圏エリア別平均価格上昇率ベスト10>
順位 地区名 平均販売価格(万円) 上昇率(%)
東京都港区 12,236 99.5
東京都千代田区 14,615 90.6
東京都目黒区 9,609 60.0
東京都稲城市 5,433 53.2
東京都武蔵野市 6,168 46.6
横浜市旭区 4,303 43.6
さいたま市大宮区 4,598 43.2
横浜市戸塚区 5,198 41.3
東京都文京区 7,988 39.7
10 神奈川県藤沢市 4,882 38.7

民間調査会社の不動産経済研究所の発表によると、上記表の通り、港区の分譲マンションの平均価格は僅か1年で倍に上昇したことになり、大宮区の分譲マンションの平均価格も43.2%も上昇したことになります。この上昇率はまさにバブル時代を思い出させます。

4.私たちが考えなければならないこと
以上見てきたように、今年の路線価は全国平均で8.6%上昇し、都心の分譲マンション価格は今年になって急騰しています。しかし今回の土地価格の上昇は、あくまで中心都市の中心部という、収益性や利便性の高い土地についての価格上昇によって引き起こされていることに注意しなければなりません。一部地域はかなりの地価上昇がみられますが、土地神話の復活ではないのですから、今後の価格上昇も一部地域に限られるであろうし、期間的にも上がり続けるような力強さはありません。
不動産投資は一般的には長期的運用の対象となります。したがって、目先の利回りや地価上昇に囚われるべきではなく、長期的視野に立ってその投資判断を行うべきことは言うまでもありません。土地が異常に上昇する時代は、土地資産家の経営手腕が問われる時代であり、土地に偏重した資産経営や借金に依存しすぎた資産経営を改善する絶好のチャンス到来かもしれません。
(文責 龍前篤司)


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