| 〜11月は贈与の季節、今年の贈与はお早めに!〜 |
| 平成19年11月6日 |
| 贈与の実行と工夫こそ、最大最強の相続対策 |
1.毎年の贈与こそ安全で確実な相続対策
最近はめっきり日が短くなり、肌寒く感じられるようになりました。早いもので2007年も残すところ後二ヶ月足らずとなりました。秋が深くなると、必ず実行しておきたいのが「贈与」のです。というのも御承知の通り贈与税には毎年110万の基礎控除が認められていますので、この基礎控除を使わずに1年を過ごしてしまうと、「もったいない」からです。
贈与税は、110万を控除した後の金額に下表の通りの税率を掛け、下表の通りの一定金額を控除して計算します。
<贈与税の税額表>
| 110万を控除した金額 |
税率 |
控除額 |
| 200万以下 |
10% |
− |
| 300万以下 |
15% |
10万円 |
| 400万以下 |
20% |
25万円 |
| 600万以下 |
30% |
65万円 |
| 1000万以下 |
40% |
125万円 |
| 1000万円超 |
50% |
225万円 |
相続税の最低税率は10%であり、累進課税で最高税率50%まで急速に上昇する税率構造となっていますが、「毎年こまめに贈与する」ことによって、10%以下の税率で生前贈与することは、たいへん安全で堅実な相続対策となります。そして下表の通り、500万以下程度の贈与であれば、かなり低い税率で財産を生前贈与することが出来るのです。
<具体的な贈与金額と対応する贈与税>
| 贈与した金額 |
贈与税額 |
実効税率 |
| 110万まで |
0 |
0% |
| 200万 |
9万 |
4.5% |
| 300万 |
19万 |
6.3% |
| 400万 |
335,000 |
8.4% |
| 500万 |
530,000 |
10.6% |
2.気になる金融機関の規制強化
私はとても気になっているのですが、最近の金融機関は異常とも思えるほどの本人確認を行っています。ATMで振込みできる金額が10万であるとか、窓口に本人が行っても届出印鑑の陰影さえ見せてくれないとか、金融庁の指導のもと、異常なまでの規制が行われています。
注意しなければならないのは、今後この「本人確認」はますます厳格に運用されるようになり、近い将来必ず、電子認証による本人確認が導入されるであろうことです。そうなると全ての金融資産の異動に電子認証が必要となるため、金融資産も不動産と同じく、その異動が全て当局に捕捉されてしまうかもしれません。実際に財務省の永年の夢は、1400兆円の金融資産に漏れなく課税の網を掛けたいということなのです。
3.金融資産を分散させることの重要性
日本が抱えている膨大な財政赤字の問題は、今後ますます深刻化して解決の糸口さえつかめずにいます。このような中で少子高齢化も進行しているため、若年層世代の税負担は増加せざるを得ないことになります。そうなると、金融資産の大部分を保有している現在の高齢者世代と、金融資産をもたない若年層世代の2極化はますます進行する事になります。
そして近い将来確実にデジタル社会が到来しますから、金融資産取引には電子認証が必ず必要となるでしょう。そうなると金融資産取引は本人以外はできなくなるため、金融資産の分散は困難になる可能性が強いのです。したがって、金融資産を子や孫に贈与することは、単に相続対策として有効であるばかりか、金融資産のリスクヘッジにもなるはずです。というのも、財政破綻を回避するために将来仮に、預金封鎖や財産税等の金融資産への課税が行われることがあったとしても、次世代へ分散しておくことは有効だからです。
また、金融取引や金銭の決済にデジタル個人認証が要求されるようになると、高齢者が多額の金融資産を持っていても、その高齢者が認知症等になったとすると、金融資産を生かすことが出来なくなる可能性さえあるのです。
4.私たちが考えなければならないこと
いずれにしても、現代の日本社会が抱える財政赤字問題と、少子高齢化問題を考えると、金融資産を次世代への移転することの意義は大きいと思います。多くの高齢者が多額の金融資産を保持しているにもかかわらず、毎年の贈与を行わないため、毎年110万の贈与税の基礎控除を有効に使っていないのが実際です。
また現在の金融資本が支配するグローバル社会は、金融資産を持っている勝ち組の金融資産はますます増殖し、金融資産を持たない者は汗水たらして働いても貯蓄できないという構造的な格差社会でもあります。全ての金融資産が当局に捕捉され、「所得税を払いながら相続税を増やし続ける親世代」と、相続が開始してから相続税を負担させられる子世代との不公平感も拡大することになるでしょう。
また、従来の定期預金一辺倒の時代と異なって、金融資産は世界を駆け巡っており、さまざまな金融商品が発売されていますので、その運用についても、若い世代でないとうまく運用できない可能性もあります。
したがって、「贈与する」という行為は、単に相続税の節税や金融資産の保全に役立つだけでなく、親子の関係改善や「死に金を生きた金にする」ということにもなります。11月は贈与の季節です。来年になってしまったら、今年の贈与税の基礎控除110万は使えません。生きた金にするためにも今年中に金融資産を贈与しましょう。なお、贈与は金融機関口座への振込みで証拠を残し、贈与税の申告もしたほうがベターです。詳しいことは御相談ください。
(文責 龍前 篤司)
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