| 〜確定申告に見る日本人の所得の低迷!〜 |
| 平成20年2月27日 |
| 所得の低迷と社会保険料の増加は深刻 |
1.所得税の納税で悩む人が減っている?
現在、平成19年分の所得税の確定申告の真っ最中でありますが、今年の確定申告でたいへんな金額を収めなくてはならないと悩む人が減っている様な気がします。
毎年この時期に、所得税の確定申告を纏めていますと、予想外にたいへんな金額の所得税を納めなければならない人が出現するものです。そのようなクライアントに対して、所得税が増加した理由や、その納付をどうしようかという相談の電話をかけることが私の役割になっているのですが、今年の確定申告ではそのような対象者が殆どいません。
その理由として、地価や上場株価の低迷もあるのですが、何といっても深刻なのは事業所得や給与所得の低迷です。
戦後最長の好景気などと浮かれているのは、一部上場企業のみであり、中小企業が中心である地域経済の景気は決してよくありません。 したがって、中小企業の所得が低迷し、所得税の納税で悩む人が減っているのです。
2.所得水準の伸びは主要国の間で日本が最低!
既にFAXニュースで「一人当たりのGDPの国際比較」はお知らせしてありますが、一人当たりのGDPが長期間低迷しているのですから、当然日本の所得水準も同じように伸び悩んでいます。
週間東洋経済の最新号(3/1号)では、‘世界恐慌’を特集していますが、その中でも日本の所得水準の伸びが主要国中で最低であるデータを示しています。
<1993年〜2005年の12年間の所得水準の伸びは主要国中で日本が最低>
| 順位 |
国名 |
人口増加率 |
所得倍率 |
| 1 |
アイルランド |
10%以上 |
3.39 |
| 2 |
アイスランド |
10%以上 |
2.44 |
| 3 |
ノルウェー |
5〜10% |
2.36 |
| 4 |
ルクセンブルグ |
10%以上 |
2.29 |
| 5 |
ギリシャ |
5〜10% |
2.29 |
| 6 |
英国 |
0〜5% |
2.24 |
| 7 |
ニュージーランド |
10%以上 |
2.2 |
| 8 |
フィンランド |
0〜5% |
2.16 |
| 9 |
オーストラリア |
10%以上 |
2.08 |
| 10 |
ポルトガル |
5〜10% |
2.02 |
| 11 |
スペイン |
10%以上 |
2.01 |
| 12 |
韓国 |
5〜10% |
2.01 |
| 13 |
カナダ |
10%以上 |
1.81 |
| 14 |
デンマーク |
0〜5% |
1.76 |
| 15 |
オランダ |
5〜10% |
1.74 |
| 16 |
イタリア |
0〜5% |
1.74 |
| 17 |
スウェーデン |
0〜5% |
1.72 |
| 18 |
米国 |
10%以上 |
1.64 |
| 19 |
ベルギー |
0〜5% |
1.62 |
| 20 |
フランス |
5〜10% |
1.61 |
| 21 |
オーストリア |
0〜5% |
1.55 |
| 22 |
スイス |
5〜10% |
1.45 |
| 23 |
ドイツ |
0〜5% |
1.36 |
| 24 |
日本 |
0〜5% |
1.02 |
上記の表の通り、バブル経済崩壊以降の日本人の一人当たりの所得の伸びは世界最低なのですから、所得税の納税で頭を悩ます人が減少しているのも当然のことといえるかもしれません。
ただし、平成19年からは、地方への税源移譲が行われているため、所得税の最低税率が引き下げられ、所得税の負担は減っても、その分だけ住民税が増えており、今後の住民税の支払いには注意しなければなりません。
3.所得税に代わって増え続ける社会保険料負担!
確定申告をやっていて、もう一つ感じるのが、社会保険料の増加です。僅か300万程度の収入の給与所得者の所得税が5万円程度にもかかわらず、社会保険料は40万程度、800万程度の給与所収入に対しては50万程度の所得税に対して90万以上の社会保険料負担となっています。
しかもこの社会保険料負担は、被雇用者だけでなく、雇用者も同額を負担していますので、増え続ける社会保険料負担は賃金が増加しない給与所得者の生活を圧迫し、それと同時に中小企業の経営も圧迫しています。
日本が抱える「少子高齢化」の問題と「巨額な財政赤字」の問題は、将来の「介護負担の社会化による負担増」と「財政健全化のための負担増」を必然化しています。これらの問題を直視したときに、現在の税制を抜本的に改革して、少子高齢化社会にとってふさわしい税制にすることこそ急務の課題となっています。
4.相続税の総合的見直しの意図するところ!
前記した表の通り、ノルウェーやフィンランド、デンマーク等の先進諸国も日本と同じように人口の増加率が減少して少子高齢化が進行しています。しかし、日本と異なりこの12年間の間で所得を倍増させて、高率の消費税等により多額の社会保障負担を賄っています。これらの国では、少子高齢化社会にふさわしい税制として消費税を増税し、経済活力を高めるために法人税や所得税の比重は低下させています。
日本の経済構造を変革し、日本経済が復活するためには税制の果たすべき役割はとても大きなものがあると思います。今年の税制改正で、相続税を総合的に見直すという方向性が打ち出されましたが、消費税の増税の議論をせずに相続税だけに高齢化社会の負担を期待するのは少しおかしい話であると思います。しかし、どうやらこれから相続税の役割が強化される方向に向かうのは必至の状況になってきました。
(文責 龍前 篤司)
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